ミニ・カリフラワー

国内の食料消費が国内産でどれくらいカバーできているかを知るのに、食料自給率という指標がある。カロリーベースの計算では、日本全体で40%(平成21年度)だが、大阪府内に限ると2%しかない(ちなみに、京都府は13%、兵庫県は16%ある)。
つまり、大阪府民の食は、98%を他の国や地域で生産されたものに占められていることになる。大阪の各都市近郊には、野菜をはじめ換金作物が盛んに作られてきた歴史があり、大きなマーケットをもつ今も作り続けられている。それらを合わせても、自給率はわずか2%なのだ。しかし、考えようによっては、大阪の生産者からみれば、それだけ攻略すべき余地がまだまだ十分に残されているといえるだろう。
奮起を促すまでもなく、府内の各地域では地産地消へのさまざまな取り組みが行われているところだ。松原市においては、市を挙げて「まったら愛っ娘(まなっこ) 松原育ち」というブランドの野菜づくりがすすめられている。
河内の人が松原を発音すると「まったら」になるらしい。地元産の野菜を愛娘のように愛情こめて大事に育んでいきたいと名付けられた「まったら愛っ娘 松原育ち」。その特徴は、すべて大阪エコ農産物の認証を受けた野菜であることだ。
現在、参加している12の生産農家のひとつ、「Cityfarm出口」の出口正広さん・とし江さん夫婦に話をうかがった。「松原にはこれといった特産物がないから、安全に配慮したエコ農産物として育てよう」と、差別化をはかっているのだという。
出荷される松原育ちは、米に加え、野菜が33品目ある(詳しくはHPを参照されたし)。Cityfarm出口では、えだまめ、キャベツ、スィートコーン、トマトなどを含めた16品目50種を育てている。例えば、トマトなんかは、桃太郎の他、フルーツトマト各種を手がけたりするので、それだけ多種類になるようだ。
「地産地消の良いところは、食べ頃の野菜をすぐに店頭へ並べられること。松原育ちは新鮮な上に、安心して買ってもらえるエコ農産物ですからね」とは言え、スーパーのように売り場が広くなるほど、2:98の比率で余所モノに圧倒される。「他の商品に負けないよう、荷姿とかいろいろ気を付けることが多くて」と出口さん。
そうした気遣いは、品種の選択にも表れる。栽培を試行し、ようやく出荷できるようになった野菜にミニ・カリフラワーがあるという。「手のひらサイズなので、値は手頃、使い勝手も良くて、まさにリーズナブル。ブロッコリーに押され気味のカリフラワーでこの大きさですから、珍しがられてお客さんの反応はいいですよ」
あえてミニと称するほどに大きさを調整させること。それに、越冬させてこの時期に収穫できる(2月末まで可)ことが利点に挙げられる。「カリフラワーは加熱しても変色しません。生でもいけますが、湯がいてから焼いてオリーブオイルと塩でいただくのもおいしいです」と出口さん。
Cityfarm出口の信条は「自分たちの食べたいと思うものを楽しんで育てること」。 息子さんは、河内れんこんにもトライしているそうだ。ご夫婦には、ミニ・カリフラワーに続いて次なる新商品パプリカが待っているとか。各地での小さな積み重ねが、2%という数値には含まれているのだと、あらためて実感したのだった。
[取材日:2015年1月22日]



ミニ・カリフラワー
- 取材協力
- 東果大阪株式会社
http://www.toka-osaka.co.jp/ - Cityfarm DeguchiさんはFacebookを利用しています。
- ミニ・カリフラワーは、以下の「一品一会」でも取り扱っています。
- http://item.rakuten.co.jp/1pin1e/10001099/#10001099
*ご利用される場合は、直接お取引ください。 - 参照
- ・「まったら愛っ娘 松原育ち」については、以下のHPを参照。
http://www.manakko.jp - ・大阪府の大阪エコ農産物認証制度については、以下のHPを参照。
http://www.pref.osaka.lg.jp/nosei/syokunoanzen/ekonousanbutsu.html
[ 掲載日:2015年2月9日 ]