パティシエや業界のプロが集結。スイーツの力で神戸を盛り上げる

神戸スイーツ学会

第2回目定例研究会の会場・ユーハイム本店(神戸・元町)には、ドイツ菓子のマイスターや有名メーカーのスタッフ、大学教授ほか約30名の参加者が集った。

2011年6月に発足した、「神戸スイーツ学会」。「神戸スイーツ」のブランド力をより一層高め、業界全体を盛り上げようと、有志たちが集まり活動をスタートさせた。役員には、パティシエをはじめ、大学教授や洋菓子メーカーの社長などが名を連ねる。当会の活動について、副理事長の松井博司氏(大手前大学教授)はこう話してくれた。「神戸スイーツの歴史や技術などの研究がメインですが、情報公開をしっかりとおこなうことで、新たな情報や技術を共有し、それを発展させていくことが重要だと思うのです」。
当会は、スイーツ産業に従事する人々や一般市民に対して、研究会や交流会、イベントなどの活動をおこなう。それらを通じて、「神戸スイーツ」という食文化への理解を深めながら、業界全体の活性化を目指す。

活動のひとつ「定例研究会」は、神戸スイーツの歴史や文化、そして技術などをテーマに開催されるものだ。 第1回定例研究会では、当会理事長の加護野 忠雄氏(甲南大学 特別客員教授)が、「地域密着型産業と神戸のスイーツ業界」をテーマに研究発表をおこなった。東大阪の金型産業や、京都の風土と世界的に有名な地元企業との関係。また灘の酒蔵にみるビジネスの発展などを例に挙げ、地域密着型のビジネスシステムを紹介。そして「神戸のスイーツはなぜ美味しいのか?」を、神戸の風土や歴史的背景から探った。

先日おこなわれた第2回目のテーマは、「洋菓子と茶の相性」。日本茶と台湾茶、中国茶販売「清水一芳園(大阪・福島区)」の清水和正氏を迎え、トークや試食・試飲がおこなわれた。

お茶は、日本の「煎茶」「番茶」のほか、台湾茶の「香檳(シャンピン)烏龍茶」、中国茶の「阿里山茶」「鉄観音茶」の5種。また、それらのお茶に合わせ、洋菓子も5種用意され、清水氏おすすめの組み合せで供された。それぞれのお茶が持つ独特の香りやテイストを、生クリームやチョコレート、バタークリームなどを用いた洋菓子とともに楽しむという意外な組み合せの数々。 洋菓子には紅茶やコーヒーが定説だが、新たなる組み合せの妙について学ぶ機会となった。

なお、第3回目の定例会は、9月16日に開催予定。ゲストはユーハイム製菓マイスターの安藤明さん。神戸スイーツをつくる上で欠かせない「温度」についての話や、バウムクーヘンの製造工程の見学、そして焼きたてのバウムクーヘンの試食をおこなう。

「定例研究会」の他にも、さまざまな活動をおこなう予定だ。神戸スイーツの歴史や研究に関する刊行物発行事業。そして、神戸スイーツ業界を活性化させるイベントへの参加・協賛や、異業種企業とのコラボレーション事業、新しいお菓子の開発など。神戸の洋菓子に関心が高い大学教授をはじめ、メディア関係者や洋菓子メーカー、また、パティシエや行政が一体となり「神戸スイーツ」を多角的に捉える。そして、研究・発信をおこなうことで、より活力のある産業としての振興をはかり、しいては地域に貢献することを目指す。

門上武司と、清水和正氏(清水一芳園)とのトークセッション。料理同士の相性や、食材を生かすための調理・調味の話題から、洋菓子とお茶の相性についての話まで、内容の濃い1時間半となった。
水出しの煎茶には、神戸洋藝菓子ボックサンの「抹茶ロール」を。緑茶のうまみが、生クリームの油脂分を洗い流してくれる。
「阿里山(アーリーシャン)茶」のココナッツミルクのような甘いニュアンスは、ラングドシャのバター分と好相性。
NPO法人 神戸スイーツ学会
発足 2011年6月
web NPO法人 神戸スイーツ学会
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[ 掲載日:2011年9月1日 ]