神戸のフレンチシェフが集結。地元・兵庫の食の豊かさを伝える。

神戸フランス料理研究会

「第13回 シェフとの集い」の様子。この日はフランス料理のブッフェのほか、兵庫県の食材や、ふるさとの食品を紹介するコーナーなども設けられた。

「神戸フランス料理研究会」が発足して、2010年で16年目を迎える。「料理人の技術向上や交流、情報発信をおこなうために」と、神戸のフランス料理界で活躍しているシェフたちが集まり、月に1度の朝食会からスタート。発足には、「ジャン・ムーラン」三木剛氏や、「神戸精養軒」井上康司氏、「コム・シノワ」荘司索氏、レストラン「シェ・サダ」西久保節文氏らも名を連ねた。現在はホテルの総料理長、フランス料理店のオーナーシェフやスタッフをはじめ、約70名が集う会へと発展している。

当会の活動内容は、勉強会やボランティア活動をはじめ多岐にわたる。なかでも一般客を交えた大きな集まりが、毎年8月に開催する「シェフとの集い」だ。「1997年に始まった“シェフとの集い”も、今年で13回目を迎えました」と、4代目会長の松村智明氏(シーサイドホテル 舞子ビラ神戸 総料理長)。「阪神淡路大震災後、神戸の街に元気を取り戻したい。では料理人の立場で何ができるのか?これがはじまりのきっかけだったと、当時の会長から聞いています」。

今年8月3日、神戸ポートピアホテルにおいて、「第13回 シェフとの集い」が催された。テーマは『ひょうご 五つの国の食物語』。「兵庫県は、北に日本海、南は瀬戸内海を擁し、様々な山海の幸に恵まれています。そして、古来より、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路の五つの国から成り立ち、それぞれに異なる食文化があるのです」と松村さん。そんな、兵庫県の食材を用い、五つの国の食文化と結びつけたかたちで、素材を活かしたフランス料理を披露した。例えば、【播磨之国】牛サーロインの赤穂の天塩パイ包み焼き、すりおろし玉葱のサラダ・エピキュリアン(シーサイドホテル舞子ビラ神戸)、【淡路之国】淡路の海の幸を使ったブイヤベースを郷土料理「ちょぼ汁」に見立てて(ホテルモントレー神戸&アマリー)、豊岡産の紅鱒を使った【但馬之国】プロシュート香る紅鱒のローストなど。兵庫県の食の豊かさを再認識する、イベントとなったのだ。

松村さん曰く、「“シェフとの集い”や、料理人同士の交流のなかで、僕たちにも発見は多々ありますよ。例えばレモン。低農薬栽培の淡路島産のものは、新鮮で香りがまったく違うんです」。今後の展開は、との問いに、「まだまだ知られていない、県内の優れた食材があると思います。ですからやはり、地産地消の大切さ、そして兵庫の食の豊かさを、フランス料理を通して伝え続けていきたいですね」と話してくれた。

当日は、約350名の参加者が来場。毎年8月の開催を心待ちにするリピーターも多い。
各ホテルやフランス料理店ごとにブースを用意。兵庫の食の豊かさを、あらゆる角度から楽しめる、ディナーブッフェとなった。
「コチと明石鯛のカルパッチョ仕立て 由良雲丹飾り」など、まさしく地産地消づくし。
五つの国それぞれの素材や郷土料理を加味した、創造性豊かなフランス料理が並んだ。
4代目会長の松村氏。「当会のメンバーは30代から70代まで幅広いです。先輩方から昔ながらの洋食を学ぶ、勉強会なども開催しています」。
神戸フランス料理研究会
発足 1994年
会員 主に神戸で、フランス料理の調理等に従事する者、および賛助企業

[ 掲載日:2010年12月1日 ]