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つながりあい高めあう 料理人の集い

会案内50 一般社団法人 全日本・食学会

2012年5月に活動を開始した「一般社団法人 全日本・食学会」。あらゆるジャンルの料理人が集まり、交流し、行動する団体であり、発足以来、キッチンカーでの炊き出しをはじめ、幅広い活動を行ってきた。理事長の村田吉弘さんは、「食は文化です。様々な分野の料理人が集まり、ともに学び交流することにより、文化の発展に貢献していきたいと考えます。また、文化の担い手である料理人の地位を向上していくことも大切な課題」と話す。

現在、当会は「①発信活動」「②交流活動」「③研究活動」を活動方針の柱として、さまざまな取り組みを行っている。発信活動のひとつが、2015年4月に実施した「食を文化」として認めていただくための文化庁長官への陳情書提出だ。飲食店経営をする際、適用される法律は風営法。和食がユネスコ無形文化遺産に登録された今なお変わらずである。料理人の卓越した匠の技は、音楽や演劇、工芸技術などのいわゆる無形文化財と比べても遜色なく、誇るべきもの。よって、国家的取り組みとして「食」を文化として明確に位置づけ、「食は文化」と胸を張って言える日本にしていきたいと訴えかけた。

当学会の特筆すべき点は、会員同士の交流や研究活動も頻繁に行われていること。そのひとつが「AJFA勉強会」。料理人の知識向上などを目的とした事業だ。2015年〜2016年にかけて、6つの勉強会が開かれた。たとえば、当学会の理事・近藤文夫さん(てんぷら近藤)を講師に迎えた「てんぷら講座」。大阪・本町の割烹「このは」のカウンターを貸し切り、近藤さんは、関西の会員を中心とした参加者19名の前で実際にてんぷらを揚げながら、自身が長年にわたって磨きあげてきた技術を惜しげもなく披露した。
また、当学会は日本料理部会、中国料理部会といった21のジャンルからなる部会が存在し、それぞれに活動を行う。ラーメン部会では「麺の大研究」というAJFA勉強会を実施。理事の松原龍司さん(龍旗信)、山内健吾さん(拳ラーメン)、知見和典さん(麺屋棣鄂)の3名が講師となり、製麺日・切刃・かん水・加水量がそれぞれ異なる麺を用意。試食を通して、麺の種類により、ラーメンそのものの味わいにどのような変化が生まれるのかを学ぶ時間となった。

そして発信・交流・研究活動の集大成が、当学会最大のイベント「全日本・食サミット」だ。「だし」、「江戸前」とテーマをひとつに絞り、多角的な視点で追求。会員はもちろん、一般のお客様も楽しみながら学べるイベントとなっている。2016年6月26日には大阪・西区「大阪ガスショールーム ハグミュージアム」にて、第3回目となる食サミットが開かれた。テーマは「色いろ」。料理における「色」の効果、地方の「特色」を出す料理人と生産者、さらには「色=メイラード」など、食にまつわるあらゆる「色」をテーマに、3つのシンポジウムと5つの勉強会を実施した。

この他、当学会が所有するキッチンカーを被災地へ走らせ、炊き出しなども行う。「災害が起こった時、シェフたちがすぐに飛んでいって温かい食事を届けられるキッチンカーが欲しい」、と賛同する方々の思いが集結し、2012年に活動を開始したこのキッチンカー。2016年4月26日から5月7日にかけての12日間、熊本地震の被災地での炊き出しを実施。当学会の会員を中心とした、年齢も料理ジャンルも異なる67名の料理人が日替わりで集結し、計9600食を提供したという。ある日は「ピッツァ」や「リゾット」を、また別の日には「焼売と餃子の中華あんかけ」や「親子丼」など、和洋中さまざまなメニュ—を昼夜ともに提供できたのは、料理ジャンルの異なる料理人が集う当学会だからこその強みである。

村田吉弘理事長は、当学会の意義をこう述べる。
「現在、日本人は約1億2千万人いますが、50年後には約8千万人になります。8千万人のうち、60歳以上の割合が40%、働き出す前の若い人達が30%、つまり残りの30%の人達が70%の人達を食べさせなければならない国になります。アジア各国の経済発展は終わっており、中国は内陸部までそれなりの物を食べるようなっているでしょうし、インドやアフリカでは人口爆発が起こっているでしょう。その頃には、現在39%の日本の食料自給率も19%程度となり、日本の子供達が飢えてしまうのではないか?と危惧されます。
この問題に対し、私たちの孫の世代が今の日本のように豊かな食生活が送れるよう、50年100年先の日本を見据え、様々な分野の料理人が結集し文化の発展に貢献できるよう活動していきます」。

16年6月に開催した、第3回「全日本・食サミット」。〜色いろ〜をテーマに、「色を作る〜色の発想から料理を考える〜」、「色を出す〜地方色を出し特色を活かす〜」、「和菓子と色、洋菓子と色」など、色にまつわるさまざまなシンポジウム、勉強会を実施。

理事の近藤文夫さん(てんぷら近藤)を講師に迎え実施した「てんぷら講座」。「揚げあがりの見極めは、自分自身の “耳”です。いかに耳を使い音の違いを見極められるか。集中力さえあれば、皆さんもできると思います」と近藤さん。江戸前のキス、アナゴをはじめ全10種のてんぷらの実演・試食が行われた。

東日本大震災がきっかけとなり誕生した、全日本・食学会のキッチンカー。熊本地震で被害が大きかった、熊本・上益城郡益城町の「古閑第2公民館」にて、炊き出しを実施した。昼と夜、各400食の日替わりメニュ−を提供。人と人との繋がりが生まれ、多くの笑顔を生んだ12日間だった。

東京・大阪・京都で、定期的に行う「AJFA情報交換会」(不定期で東海での開催もあり)。会員同士の交流をはじめ、さまざまな情報交換を行っている。普段、お店でどのようなサービスをしているのか? 料理の工夫ほか、飲食関係者が集まっての熱いトークが毎回、繰り広げられる。

15年10月、大阪・三休橋筋で開催した、当学会初の街なかイベント「食フェスティバル」。会員同士の特別コラボメニュ−をはじめ、野菜マルシェなど物販販売も。1400名を超えるお客様にお越しいただいた。

[取材日:2016年7月22日]

一般社団法人 全日本・食学会 〜ALL JAPAN FOOD Association(AJFA)〜
発足:2012年
会員:国内、海外の料理人を中心に「食」の仕事に従事されている方、約350名
申し込み方法:理事2名の紹介が必要。その上で入会申込用紙に必要事項を記入の上、メールまたはFAXにて事務局へ送付。
年会費:12,000円
HP:http://www.aj-fa.com/
[ 掲載日:2016年8月18日 ]
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