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食材研究 生産者に聞く旬の話

食材レポート74 大和の伝統野菜 結崎ネブカ 川西町商工会 事務局長 吉岡 清訓(よしおか きよのり)さん(奈良県磯城郡川西町)

結崎ネブカは周年栽培ではない。あえて露地にこだわり、生産地は川西町のみ、収穫期間を限定(9月から翌年2月まで)することで価値を見出す。

柔らかくても丈夫に育てるためには手間ひまかかる。それでも、結崎ネブカの美味しさが伝わるようにと大切に育てられている。

「近鉄結崎駅の近くにある店で見つけた結崎ネブカ使用食品」

手づくりうどん「美ノ吉」のネブカうどん(11月前後〜2月限定)

ぱん処「ととかか」の結崎ネブカの塩パン

門外不出の野菜なら、うちにもあるよと言われ、その野菜「結崎ネブカ」が育てられている奈良県磯城郡川西町を訪ねた。取材に応じてくれたのは、生産農家ではなく川西町商工会である。農産物なのに何故といぶかしく思っていたら、結崎ネブカは町起こし事業で復活されたネギだった。

「町内に伝説のネギがありまして」と話すのは、同商工会事務局長で広域経営指導員を兼務する吉岡清訓さん。文献によれば、川西町周辺は古くからネギの産地として知られ、結崎地区には結崎ネブカと呼ぶ在来種が作られていたらしい。「由来は伝わっていますが、実物を見た者はいない。ところが、自家用に栽培されている農家さんがあったのです」そうして発掘され、町をあげて復活に取り組む運びになったという。

ネブカはネギを指す呼称でもあるが、結崎ネブカは根深の白ネギとは違い関西に多くみられる青ネギである。「自家採種されていた種から栽培してみると、いろいろ明らかになりました」と吉岡さん。害虫や寒暖差の大きな天候などには弱くて栽培が難しい。それに、葉が柔らかいから伸びるとすぐに折れてしまう。「繊細すぎるんですね。日持ちしないし、折れたネギは見た目がよくないこともあって、市場から淘汰されていたのでしょう」

それでどうして町起こしできるのかという意見も出たとか。当然だけれど、「甘みとか、柔らかな歯ごたえとか、差別化になりえる特徴があるのです。加熱すれば美味しさも際立つから、薬味というより料理の食材として多様に使ってもらえる。そうしたアピールをしていくことで、きっと注目してもらえると思っていました」

平成14年に始まった事業は、今では結崎ネブカを育てる農家も22軒になり、作付け面積は1haの規模へと拡大。商工会の働きかけで、結崎ネブカを使う飲食店も増え、新たな料理メニューが続々と生まれている。畿央大学健康栄養学科とのコラボで体によい新感覚レシピを開発したり、焼酎などの加工品開発など対外的な動きも広がりをみせる。

「繊細ゆえ、農家さんには栽培から出荷まで人一倍気を遣ってもらっていますが、流通はJAさんにお任せすることで、新たな協力関係を築いています。近年には、JAならけん「結崎ネブカ生産部会」で奈良県エコファーマーの認定も受けました」こういう話からは、商工会ならではの事業らしさがうかがえる。

畑で引き抜いた結崎ネブカをもらって帰った。真っ直ぐなネギより、くねっとしているほうが調理しやすいのだ。それに、煮る、焼く、揚げると試してみたら、いずれも甘く口当たりがソフトで、ネギというより別の葉物類を食べているような、じつに食べ応えのある旨さに驚いた。

昨年の収穫量は12t。市場に出回るよく知られたブランドネギに比べ、まだまだ生産量に限りがあるから、お目にかかる機会も少ないと思われるが、結崎ネブカに注目されたし。

[取材日:2017年11月16日]

大和の伝統野菜 結崎ネブカ
「結崎ネブカ」に関する問い合わせは
・川西町商工会
電話番号:0745-44-0480
・大和野菜の公式紹介サイト
http://www.pref.nara.jp/2767.htm
・奈良県エコファーマーのサイト
http://www.pref.nara.jp/16238.htm
[ 掲載日:2017年11月24日 ]
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