第28回定期イベント 「だしの最前線を探る」

開催日:2018.10.14

概要

「だしを考えることは、料理を考えること」をテーマに、各ジャンルの料理人の方々に新しい「だしからつくる料理」を披露していただきました。それぞれ提案されただしと料理について、考察と討議を行いました。

Program 1:レビュー

サイエンスとデザインの視点を示しながら、料理を考える基になるだしについて、凝縮されたまとめの講演をしていただきました。

講義:川崎 寛也氏
博士(農学)・「味の素株式会社イノベーション研究所」主任研究員

基調講演:『料理人のための「だし」のサイエンスとデザイン レビューと発展』

・だしをどう使えばいいかにつながるまとめです。導くのは、サイエンスによる解明とデザインしていくという考え。まとめのポイントは2つ。ひとつは、だしとは何かを材料と成分から説いていただきました。ふたつめは、新しいだしを考えるための提案です。うま味の使い方から、だしの役割からなど、いくつかの方向を示していただきました。

Program 2:料理実演と考察

各ジャンルの料理人の方々に新しい「だしからつくる料理」を披露していただきました。実演ごとに川崎先生に考察いただきました。

1:日本料理:上野 法男氏
「一汁二菜 うえの」代表

実演:特製八方だしを使って

・だしを調味して様々な料理に使うベースとなる日本料理独特の「八方だし」。その基になるだしを作るところから披露していただきました。スッキリした味わいを求めて、あえて食材を足して作るのが上野流特製八方だしです。

考察キーワード
・うま味成分などの相乗効果・イオウ化合物などの香り効果・和の価値観や美意識などの現れた現代の八方だし

2:中国料理:大澤 広晃氏
「酒中花 空心」オーナーシェフ

実演:「鮮」の分解と再構築

・中国料理の「鮮」とは、魚と羊で作るスープから始まる。という中国料理におけるだしの歴史を背景にした料理を披露。その料理を口にしたとき、物語まで味わえる、だしの新しいコンセプトになり得る方向を示していただきました。

考察キーワード
・鮮(シェン)はうま味も指す・口の中で完結するだし・中国料理にはない材料や技術まで融合させたアレンジの可能性

3:イタリア料理:山根 大助氏
「ポンテベッキオ」オーナーシェフ

メニュー「ブロッコレッティのリゾットの上にのせた淡路産ゴールデンポークのバラ肉のとろとろブラザート」

・だしにも料理における役割の違うだしがあることを提示するプレゼンテーションです。 スープのベースになるダシ。ソースのベースになるダシ。それぞれのダシを作ることから始め、リゾットと煮込み料理ブラザートを披露していただきました。

考察キーワード
・ソフリットもだしになるか・肉と85℃の関係などイタリアン的な料理の分解と再構築によって示されただしの新たな方向性

Program 3:ディスカッション

出演者にコアメンバーが加わり、質疑応答と討議を行いました。会場では各実演後に参加者からの質問状を回収。その質問に答えながら進行しました。
参加コアメンバー:参加コアメンバー:山口 浩氏(「神戸北野ホテル」総支配人・総料理長)、吉岡 勝美氏(「辻調理師専門学校」中国料理技術顧問)、髙橋 拓児氏(「木乃婦」三代目主人)
進行:門上 武司