〈分科会〉うどん過去現在未来

開催日:2018.9.9

大阪のうどんは「大阪讃岐うどん」の出現で大きく変化しました。その潮流をけん引した元『釜たけうどん』の木田武史氏が、次なるチャレンジとして“細麺”に乗り出したのです。さて、これから大阪のうどんはどうなっていくのか。
“うどん居酒屋”という新たな業態に挑む久保達也氏も参上。「大阪讃岐うどん」の変遷を味わいながら、ともに考え語り合いました。

Program 1:鼎談と実演+試食

実演
木田 武史氏(「き田たけうどん」店主)
久保 達也氏(「讃州」店主)

進行
門上 武司

1-1:冒頭、三者で大阪讃岐うどんが生まれた背景や果たした役割などを振り返っていただきました。

・大阪のうどんの“だし”と腰のある讃岐うどんの“うどん麺”を融合させた大阪讃岐うどんは、作り手も食べ手も美味しいものを求めてやまない大阪ならでは生まれなかったし、これほど広まなかったといえるだろう。

・今では、だし、うどん麺、両方からうどんをさらに美味しくするための創意工夫が行われるようになっている。だしなら、昆布や様々な魚介の節などを組み合わせてみる。うどん麺では、小麦粉の選択、水や塩との配合、打ち方、湯がき方など、細部にわたって試行が重ねられている。茹でたうどん麺をトルネードにするなど供し方まで含めれば、新しいうどんのかたちを示すものだ。

・大阪讃岐うどんによって他のうどんも変わりつつあるほどの影響を及ぼしている。例えば、大阪のうどんでも茹でたてを出すようになった。讃岐では、明らかに大阪讃岐うどんに似たうどんメニューの変化が見られるなど。

・さらに、だしの追求によって、酒とも合ううどんだしや新たなメニューが考案され、うどん居酒屋という新たな業態が生まれている。うどん麺では、細麺の可能性が探られているのも、そうした進化のひとつである。

会場は、大阪・日本橋に今春オープンされたばかりの「き田たけうどん」。店の前の広間を使った特設の席は、満席でした。
店内のカウンターを舞台にして進行。中央の門上の左が木田さん、右が久保さん。

1-2:次に、三種のうどんを茹でたてで食べ比べていただきました。当日の参加会員には、だし、うどん麺ともに材料やレシピなどが公開されました。

その1:過去のうどん
・従来の讃岐うどんの典型的な極太うどん麺です。茹でたてを生醤油で、スダチを絞っていただきます。

その2:現在のうどん
・うどん麺は、「讃州」で供されている人気のうどん麺です。食感とうま味を追求し、香りがたつように工夫していると、久保さん。これに、木田さんのつくるだしを合わせた、まさに今ここでしかいただけない大阪讃岐うどんです。

その3:未来のうどん
・「き田たけうどん」の細麺です。木田さんが機械で伸ばし、麺切りまでを実演。だしは、イリコだしを元にしたもの。冷やしただしに茹でたてを冷やした細麺でいただく“冷やかけうどん”です。このだしなら酒にも合わせやすいという提案で、チラシ寿司とともに供されました。

三種のうどんを湯がくところから実演。それぞれの茹で時間に合わせて説明しながら用意されました。
木田さんの新しい店に設けられた機械でうどんを伸ばしていく姿は、営業日にはいつも見られるそうです。
・当日、店は貸し切り状態ですが、店の前を行き交う人には注目の的で関心の高さがうかがえました。
過去のうどん
現在のうどん
未来のうどん

Program 2:質疑応答と討議

試食の後、参加者からの質問に答えながら、大阪讃岐うどんと併せこれからのうどんについて、ともに語り合いました。

・木田さんは、讃岐うどんの修業をはじめ自らで学んできたので、師匠と呼べる人がいない。だから、習得した技や方法は、求める人にはシェアしてきたと披露。大阪讃岐うどんが多くの後継者によって支えられていることがわかる。

・大阪讃岐うどんは、ひとつのジャンルというのに留まらず、新しい業態としての可能性をもつということが実証された。

・細麺には、麺が細い故に茹でた後くっつきやすい。それをどのように生かすか克服していくかは今後の課題である。そうした麺への探求は、生麺のみならず乾麺までも含む麺全体の可能性をさらに開いてくれるようで期待できる。

・当日の参加会員には、商品開発に携わる関係者などからの質問もあり、うどんに寄せられる関心の高さが判明。本会のこれからの活動には、まだ多くの切り口が残されていることがわかる。

木田さんや久保さんへの質問が多く、少人数故に活発な交流がおこなわれました。

今後も、こうした小規模な集まりでひとつのテーマを深く掘り下げる、というような分科会を催していきますので、リクエストしてください。